エムエム建材は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進の 一環として、女性社員の活躍促進に取り組んでいます。近年では産休・育休を取得して復職し、子育てと両立しながら活躍する女性社員も増えています。そのひとりであるプロジェクト開発本部サステナビリティ推進部の真坂絵理に話を聞きました。
※掲載している内容は2023年1月時点の情報です
<プロフィール>
- プロジェクト開発本部 サステナビリティ推進部 真坂絵理
- 1999年4月入社。棒鋼部、建築建材部等を経て、産前産後休業・育児休業を16ゕ月取得。
条鋼営業部に復職後4年目の2021年4月に総合職へ職掌転換、サステナビリティ推進部へ異動。
子育てしつつ全力で仕事をしたいから、フルタイムで復職
私は2015年12月から産休と育休を取得して、2017年5月に復職しました。出産前とは別の部署になったので、新しい商品を扱う点は少し不安でしたが、入社時から数多くの部署を経た経験が活きて、比較的スムーズに戻れたと思います。
私は「全力で仕事がしたい」という気持ちが強かったので、フルタイムで復職しました。時短勤務の選択肢もありましたが、フルタイムにしたことで自分で時間をコントロールしやすくなり、手がかかる乳幼児期でも「子育て」と「仕事への欲求」をバランスよく両立できたと思います。
そして何より、職場のみなさんが育児中の働き方を理解して受け入れてくれたことが、一番ありがたかったです。その環境のもと、自分が担当する業務の改善によって「いかに業務効率を高めて仕事を早く終わらせるか」という試行錯誤も楽しく、やりがいにつながりました。
総合職へ職掌転換。在宅勤務と時間休の制度で業務効率アップ
復職当初は「子どもが中学生になるころ、総合職になれたらいいな」と思っていたのですが、女性の先輩が「総合職になりたいならすぐに行動を起こすべき。私も応援するわ」と勧めてくださって。「今がチャンス」と感じて、子どもが保育園の年長になった2021年4月に職掌転換しました。
今、子どもは小学生になりましたが、学童保育の送迎や学校行事などもあるので、あと2〜3年は残業の制約がある状況です。そうした事情も人事調査の面談で上司に伝え、理解していただいています。
両立にあたり、活用している会社の制度は在宅勤務と時間休。この2つは本当に助かっています。この制度が導入される前であれば、例えば午後3時から学校の行事がある場合、半日休みを取って、電車やバスを乗り継いで全力疾走で学校に向かわなければいけませんでした。でも、現在は行事時間に合わせて時間休をとり、中抜けするだけで済みます。業務効率的にも、自分の身体的にも、大きなメリットを感じています。
働き続けることは子どもにもよい影響がある
私が母親になっても働き続ける最大の理由は、安定した生活の確保です。不確定要素の多い時代ですが、共働きの2本柱で生活を支えていれば、社会の環境変化にも柔軟に対応しやすいですから。
ただ当初は、「母親が一緒にいる時間が短いと、子どもにさみしい思いをさせるのでは」とネガティブに考えたこともあります。でも、保育園のサポートに恵まれたおかげで、「家庭だけで育てるよりも、多くの人の手を借りることで子どもの環境はより充実した」「社会性を身につける機会に恵まれた」とポジティブに感じるようになりました。
子どもにはこれからも働く両親の姿を見せて、仕事のやりがい、家庭と両立する楽しさ、将来の選択肢や可能性を広げる大切さなどを伝えていきたいと思っています。
男性の育休推進は何のため? 女性の価値観もバージョンアップを
近年、男性の育児休業の取得率が上がってきていますが、それでもまだ少ないです。私が出産した当時も制度はありましたが、世の中的に取得しづらい雰囲気で。私の夫も転職2年目だったこともあって、取得に踏み切れませんでした。
男性の育休取得があまり増えないのは、経済合理的に「取得しないほうが有利」だから。日本はメンバーシップ型の終身雇用なので、「休むからにはデメリットがあって当然」という意識が強いのが現状です。
休業中は会社への貢献や職務経験が少なくなるので、それで休んでいない人と同様に出世したり、休んだ人が得するように見えたりすれば、不公平に感じる人も少なくないでしょう。
このような現状を解消するには、会社組織として、何らかの制度改正とマインドチェンジが必要だと思います。
また、今はまだ「妻は長く育休を取得して、子育てもメインで担う。夫は仕事を頑張って出世し、妻は責任の重い仕事から離れる」という、暗黙のルール(無意識の差別)が残っていると感じます。
こうした既存の価値観やルールに縛られたまま、制度や目標数値だけつくっても、「仏作って魂入れず」。男性の育児休業取得率が上がり、女性の管理職が増えたとしても、本質的なD&Iにはなりえません。
一方、既存の価値観から抜け出すには、個人的には、男性だけでなく女性の意識改革も必要だと思っています。時代も会社も新しく変わっていく中で、女性も「自分がこうありたい」とイメージすることがすべての原動力であり、目的になるのではないでしょうか。男性も女性と同様の家事・育児をするなら、女性も男性と同様の仕事に挑戦できるようになるはず。これからは、性別での役割区分でなく、個人の意思がより重要になるのではないかと思います。
最後に真坂は、「誰もが働き続けたいと思う職場環境を築くためには、サステナビリティ推進部だけでなく、人事・総務部や他部署とも連携が必要では」と話してくれました。
真坂のような、子育てと仕事の両立をしながら、さらに総合職へ職掌転換をした経験者は、きわめて少数派です。だからこそ、D&Iでサステイナブルな環境づくりを、パワフルに推進してくれることを期待しています。